書籍『緑の牢獄』が台湾年度の「Openbook好書獎2021」受賞

台湾版書籍『緑の牢獄』の出版社である前衛出版社編集長・鄭清鴻、中央は『緑の牢獄』助監督・何孟学が著者の黄インイクの代理として出席。

 12月4日(土)台北・西門紅楼劇場にて「2021Openbook好書賞」の受賞式が行われました。沖縄県八重山諸島の台湾移民を描くドキュメンタリーシリーズ『海の彼方』、『緑の牢獄』の監督である黄インイクの初著『緑の牢獄:沖縄西表炭坑に眠る台湾の記憶』が今年台湾で出版された3,000冊以上の中から「2021Openbook好書賞」の「年度中国語創作」部門を受賞しました!

 2016年から始まった「Openbook好書賞」は、その年に台湾で出版された書籍を4つのカテゴリー「中国語創作、翻訳書、生活書、青少年・児童書」に分け、各分野の専門家による審査を通して、それぞれ10冊が選出されます。受賞書籍は台湾各地の図書館や本屋にて展示されます。なお、IT大臣として知られるオードリー・タン氏は2020年の宣伝大使を務めました。

 審査委員の精神科医師・呉易澄氏は以下のようにコメントをしています「『緑の牢獄』は記憶の本です。同名のドキュメンタリー映画によって形成した物語の軸に沿って発展し、さまざまな歴史資料、インタビューなどを補足しながら、著者の視点と歴史的によって真実が語られている。」

 本書は黄監督が映画では描き切れなかった記録の集大成。撮影の歩み、史料の掘り起こし、歴史視点の再発見、またドキュメンタリー方法論を文章という別の切り口によって書き上げました。

受賞トロフィー。本年のものは廃品の鉄や銅を回収し溶かして、鋳造したもの。

著者・黄インイクの受賞コメント

「教科書にも載っていない歴史の断片を7年掛けて撮影し終えた後、これを映画だけでなく本としても残そうと思ったのは自然な流れでした。私にとっても大きな挑戦でした。出来事や炭鉱の歴史を整理してくれた編集者や出版社、この作品を支持してくれた読者と審査員の方々にはとても感謝しています。」