あらすじ:
2013年から始動した八重山の台湾移民を描くドキュメンタリープロジェクト「狂山之海」三部作の最後を飾るのが本作『両方世界』です。
戦前、沖縄県八重山諸島には台湾から多くの移民がやって来ました。
彼・彼女たちはその移住先で共同体を築き上げ、その繋がりは現在まで続いています。本企画では、移民四世の人々にスポットを当てます。すでにルーツが 日常生活からも遠のいてしまい、台湾に行ったことさえない者もいる彼らの世代には華僑会に参加したり関係を維持することにも納得できる理由が必要 となっています。彼らはどのように自分たちのルーツと向き合うのか、そしてこの共同体を維持していくのか、インタビューや彼らの日常の様子を通して追いかけていきます。
また、取材を続ける中で「移民四世の揺らぐアイデンティティ」という問題意識を飛び越えた、現代の地方都市を生きる若者たちの日常と苦悩も見えてきま した。伝統や歴史を受け継ぎたいのだけれども……、人間関係は難しく仕事も忙しい、さらに自分の家族のこともある……。祖父母や前の世代の「近代の歪 みや歴史の大きな波に翻弄された移民」という姿に比べると彼らの苦悩はダイナミズムには欠けるかもしれません。
しかしそれでも自分たちのルーツや伝統の意味を問い、悩みながら龍舞や爬龍 (ハーリー) 船のオールを漕ぐ姿に私たちは共同体のもつ熱意や可能性を見出すことになります。
スタッフ
監督、プロデューサー:黄インイク
撮影:中谷駿吾
製作:木林電影有限公司、株式会社ムーリンプロダクション